松山に“山を登るエレベーター”がある。湯の山ニュータウンの斜行エレベーター

松山市には、山の斜面をそのまま登っていくエレベーターがある。

場所は、松山市湯の山にある住宅地「グリーンヒルズ湯の山」。

普通、エレベーターと聞けば、建物の中を上下するものを想像する。

でも、ここにあるのは少し違う。

斜面に沿って、斜めに進む。

※斜行エレベーターのイメージ画像(生成AI)

見た目は、エレベーターというより小さなケーブルカーにも近い。

住宅地の中にこんな設備があると聞くと、それだけでちょっと気になる。

今回は、松山にある少し珍しい「斜行エレベーター」について調べてみた。


目次

湯の山にある、大きな住宅地

グリーンヒルズ湯の山は、松山市郊外の丘陵地に開発された大規模な住宅地だ。

積水ハウスによると、総区画数は1,192区画。

街開きは1986年。

開発面積も約75万㎡あり、四国でもかなり大きな規模の住宅地となっている。積水ハウス

実際、地図で見ると住宅地が山の斜面から高台にかけて広がっている。

そして、この立地には当然ながら一つ問題がある。

坂が長い。

高台に住宅地を造れば、どうしても下側との高低差ができる。

車ならまだしも、徒歩で毎回坂を上り下りするとなると、なかなか大変だ。

そこで造られたのが、今回の主役である。


山の斜面を登る「斜行エレベーター」

積水ハウスの公式ページには、グリーンヒルズ湯の山の斜行エレベーターについて、

全長99m、日本最大級

と紹介されている。積水ハウス

99m。

建物の中のエレベーターとして考えると、かなり長い。

しかも縦に上がるのではなく、山の斜面に沿って移動する。

こうしたタイプは「斜行エレベーター」と呼ばれる。

乗る場所は下にあり、そこから住宅地のある高台へ向かって斜めに上っていく。

構造だけを聞くと、

「それってケーブルカーじゃないの?」

と思うかもしれない。

見た目にも少し似ている。

ただ、位置づけとしては住宅地の移動を支える共用施設のエレベーターだ。

国土交通省の資料でも、グリーンヒルズ湯の山では住民が斜行エレベーターを利用して住宅地へアクセスすると紹介されている。国土交通省


※斜行エレベーターのイメージ画像(生成AI)

住宅地にエレベーターがある、という発想

個人的に面白いのは、単に珍しい乗り物があることではない。

「坂が大変なら、住宅地にエレベーターを造ろう」

という発想そのものだ。

普通なら、

坂道を整備する。

階段を造る。

バスを走らせる。

そのあたりを想像する。

ところが、ここでは斜面に沿ってエレベーターを設置した。

積水ハウスも、高台にある住宅地までの長い坂道という弱点を、斜行エレベーターによって補ったとしている。積水ハウス

山を削って造られた住宅地だからこそ生まれた設備、と考えると面白い。


実は住民側が管理している

もう一つ興味深い点がある。

この斜行エレベーターは、単に住宅メーカーが設置して終わりという設備ではない。

国土交通省の資料によると、グリーンヒルズ湯の山では、建物所有者が斜行エレベーターなどを共有し、団地管理組合法人が維持管理を行っている。国土交通省

つまり、住宅地の共用インフラという位置づけだ。

公園や集会所を住民が管理する住宅地は珍しくない。

しかし、

「住民が共有する設備の中に、全長99mの斜行エレベーターがある」

となると、かなり印象が違う。

これだけ大きな設備が、住宅地の日常生活の一部になっている。


街そのものもかなり大きい

グリーンヒルズ湯の山は、斜行エレベーターだけが特徴というわけではない。

1986年に街開きされ、総区画数は1,192区画。積水ハウス

積水ハウスは、1社によるプロデュースとして同社最大規模の街と紹介している。積水ハウス

国土交通省の過去資料でも、区域面積は約75ha、計画人口は約4,000人の住宅地として紹介されている。国土交通省

つまり、単なる「山の中の小さなニュータウン」ではない。

かなり大規模な街を丘陵地に造り、その移動手段の一つとして斜行エレベーターまで整備した。

そう考えると、設備のスケールにも納得できる。


松山にこんなものがあったのか

松山に長く住んでいても、湯の山方面に用事がなければ、このエレベーターを知らない人は多いかもしれない。

観光施設でもない。

遊園地の乗り物でもない。

山頂へ向かうロープウェイでもない。

住宅地で暮らすために造られたエレベーター。

そこが面白い。

しかも全長99m。

山の斜面にレールのような設備が伸び、その上をエレベーターが移動していく。

「松山に変わった乗り物がある」と聞けば観光施設を想像するが、実際には住宅地の生活インフラだった。

こういう設備は、知ってしまうと妙に気になる。

普段何気なく通り過ぎている住宅地にも、

その土地の地形や事情に合わせて生まれた、ちょっと変わった設備

がまだあるのかもしれない。


参考

積水ハウス「グリーンヒルズ湯の山」では、斜行エレベーターを全長99m・日本最大級として紹介している。街開きは1986年、総区画数は1,192区画。積水ハウス

国土交通省のエリアマネジメント事例資料では、グリーンヒルズ湯の山について、住民が斜行エレベーターを利用して住宅地へアクセスしていること、団地管理組合法人が共用施設を管理していることが紹介されている。

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